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ブラック・クランズマンのryotothefilmlogのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.5
シリアスなトピックを少しコミカルなタッチも交えて描くのはいかにもスパイクリーらしい。

do the right thingに通底する部分はあるけど、登場人物そのもののキャラクターにあまり重要性がないのが違う点なのかも。
より群像的でストーリーの流れ重視というか。

公民権運動の渦中にあった(?)白人の一部の態度や人種観にはやはり胸くそ悪くなるものがあるのは間違いない一方、反対する黒人側の一部の中には運動そのものにただ酔ってしまっているだけの層もいたんじゃないかと考えさせられた。
もちろん力学的には相対的に弱者だった黒人の側に大義があるのは間違いないんだけど。

それ以外にも、同じ白人側もKKKの母体であるだろうプロテスタント系白人の一部はユダヤ人と反目していたり、黒人側は権力行使の対象である警察を敵対視していたりと各々の憎悪の対象が絡まり合っている状況がグラデーション的だから、自分の想像力が各々の憎悪に追いつかない部分もあったのも確か。

日本は人種の問題としてはそこまで複雑な状況ではないけど、貧富や年齢、性別などの違いに着目して憎悪が生まれ得るという意味ではすでに現在の状況と符号している面もありそう。

観終わった後に周辺のアメリカ史をちょこっと調べてみたけど即席での理解は難しい…。
もちろん観てよかった一本です。
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