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ブラック・クランズマンのtheocatsのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.6
スパイクリー作品は実はあまり好印象という記憶はなかったので、さほど期待はなかったのだが、本作品には御見それいたしました。

第一に、黒人刑事が白人至上主義団体KKKに電話をかけて入会を申し込み、同僚の白人刑事がその黒人刑事の代わりにKKKに潜入捜査するというのが無理筋過ぎて、序盤は「コメディ??」といった風で微妙に笑わせられ楽しい気分に。

そんな中でも黒人集会における一人一人の顔面アップ演出など随所にオッとなる演出が目を引く。

中盤以降もギャグテイストはしばし混入されるが、無理筋の潜入捜査ゆえに「いつばれるのか?」というハラハラ感がこちらにも生じ、緊迫感が最後まで持続された展開にも唸らされてしまった。

「もしかしたらクライマックスは主役たちの血まみれバイオレンス???」というドキドキ感の最中の予想を超えた爆破オチにもいい落としどころと感心。

これは散々虐げられてきた黒人たちが映画で白人に見事なまでの仕返しをしたということなのかもしれない。

エンドロール前のトランプ政権誕生後の白人極右グループの蛮行映像により、やはり深刻な社会的風刺の意図もあったことがわかるなど、エンタメ要素で楽しませつつもシリアスに持っていく手腕もまた見事だったといわざるを得ませんね。
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