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ブラック・クランズマンのpriskyのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.9
逆さまに掲げられたモノクロの星条旗。描かれた白と黒は決して交わることがない。星条旗を逆さまに掲げるのはエマージェンシーサイン。つまり、白と黒が対立したアメリカは危機的状態にあるのだと示している、のだと思う。

そう、白と黒の対立である。

KKKは歪んだ思想をもつ異常な白人として描かれていたが、「ブラックパワー!」と叫び、拳を振り上げる黒人たちの狂気のまじる熱気にも恐ろしさを感じる。

どちらが悪で善だ、ということではない。

この映画では、対立している状況こそ、危険であると伝えたいのだと理解した。

面白かったのは、70年代から現代へと引き戻して状況を見せる映画の“締め”部分。黒白対決は相変わらず続いており、ひとが死んでいる。

アメリカズファースト、メイクアメリカグレートアゲイン、、、、誰かの声が不気味に響く。

黒人集会で語られた、白人による黒人のリンチの話。白人怖い、KKKは異常、と感じるが、日本人だって、同じようなことを関東大震災のときにやっている。「災害の混乱に乗じて悪事を画策している」とされた朝鮮人(と朝鮮人と思わしき人々)を日本人は虐殺した。大衆が信じれば虚偽は真実となることがあり、自分と差異のある人間は、自分と同じ生きた人間であっても死すべき野蛮な害虫と見なされることがあるのだ。怖い。集団心理怖い。

同僚の警官たちなど登場するキャラクターにも好感がもて、全体的に納得の作品だが、前半は、もうちょっとテンポよくいかんかね、と思う部分も。展開として、意外にも静的な印象だった。

しかし、、、あの潜入捜査、実際に活躍したのはロンよりもフリップのほうじゃないのかなぁ。
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