トランスマスター

存在のない子供たちのトランスマスターのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.5
♯73 不定期開催
【レンタル困難DVD発掘 第②弾】

「育てられないなら産むな」
両親に対し自分を産んだ事に対する訴訟を起こした少年の物語。

肉体的・精神的にコンディションが良く無いと精神が耐えられない映画です。

舞台は中東レバノンのスラム街
主人公は出生届も提出されていない為身分証のない少年ゼイン。
両親は家賃も払えないほどの絶対的な貧困なのにも関わらず子沢山。
ゼインは学校へも通えず商店で働く逞しい少年。その店主はゼインの11歳の妹ザハールにマジ惚れするロリコン男。
妹を守るため街を抜け出すはずが両親の妨害に遭い失敗に終わる。
一番歳の近い妹ザハールは、ゼインの働く商店の店主と結婚したのをきっかけにゼインは家出を決行。
バスで途中下車した遊園地で、エチオピア人のシングルマザーと知り合い、シリア人のストリートチルドレンの娘との交流から福祉大国スウェーデンを目指す
社会派ロードムービー。

◆良い点/注目ポイント
・冒頭のゼインが両親を訴えた裁判のシーンから物語が進むにつれて全体像が浮かび上がるストーリー進行や、スラム街の空撮からのカメラワーク、子役の演技力全てにおいて高い水準の映画です。
・身分証の無い人物達の出口のない貧困の描き方がリアルです。生まれた場所や時代でこんなに人生がハードモードになっているという現実を思い知らされました。

◆改善点
・なし。

◆総括
・幼少期に労働を免除され学校で教育を受ける事。衛生的な環境で生活する事。社会のセーフティネットやインフラが整っている事。普段何も感じない事が実はこんなに有難い事だと実感できました。

諦め切った表情からの【ニヤリ】
は必見。

-2021年73本目-