磯野マグロ

帰れない二人の磯野マグロのレビュー・感想・評価

帰れない二人(2018年製作の映画)
4.0
【ジャ・ジャンクーの中国万歳!】

ひょいとひょいとひょひょいと、あちらへこちらへ中国大冒険。1990-2000年代の中国はどこに行っても絵になる。適度なさびれと21世紀感の融合。時代が激流のようにうねり、人も街も建物もただ、漂うばかり。その投げやりさがかっこいい景色を作っている(とか思ってるのは勝手にノスタルジー感じてる日本人だけで、中国人にとっては別にどうってこともないだろう)。
チャオ(余貴美子似)もビン(宮史郎似?)も、渡世人というより演歌の世界。わたしバカよね、くらいで済めばいいのだが、女は最後には執着が凝り固まって別のものに変身してるし、男は投げやりに世をさすらう。そんなオールドスタイルの男女がオールドスタイルな町で繰り広げる追っかけっこを20年。その中に、チャオが金やら飯やらをかすめとったり、よくわからない未確認飛行物体シーンなどのへんなシークエンスがはさみこまれて、もうなんだかよくわからない。嫌いじゃないけどw
一番わからないのは、罪をかぶってくれたチャオを、なんでビンは見捨てたのかというところ。その一線を超えたところで、ビンはもう男としてボロボロになってて、そのあとはずっとボロボロなままだった。二番目にわからないのはベッドの下のタライ。あれはなんに使うの?
見てると猛烈に中国に行きたくなる。ちょっと寂れた中国の地方都市に。でもだれかに案内してもらわないと、自分と中国の街並みの、接点を見つけられそうにない。
202
磯野マグロ

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