【パリの悲哀】
イケメン俳優、ジェラール・フィリップの演じる貧乏画家モディリアーニの佇まいが出色な伝記映画になっており物悲しい雰囲気になる事請け合い。監督は『穴』のジャック・ベッケル。古き良きおフランス郊外のロケーションが「あの時代」のパッションを蘇らせる事に見事成功している。
ヒロインを演じるアヌーク・エーメも人望に厚い性格で、この若きヘタレ青年を必死で擁護するしっかり者の女性像を見事体現している。絵画に人生を燃やす主人公の最後のフォロワーとして、孤独な生涯に寄り添う唯一のバラのような存在感を発揮している。🌺
どこまでもついてない運命にある画家と、それに寄り添うヒロインの道行が悲劇的ながらも熱情の籠ったタッチでこの監督らしくヒューマンな味わいで描かれた一級のドラマとなっている。やはりジャック・ベッケル作品は男っぽくて熱い。そうとしか言えない。