月うさぎ

猫の恩返しの月うさぎのレビュー・感想・評価

猫の恩返し(2002年製作の映画)
4.0
まずはバロンのカッコよさ。日本にはいないタイプの紳士です。
どんなキザな台詞を言おうと、臭さを全く感じさせない芯の通った凛々しさと姿勢の美しさ。心の正しさからくる透明感。
は~。これぞ正統派ヒーローです。

つじあやのが歌う主題歌「風になる」の優しい歌声が、映画の暖かい雰囲気とぴったりです。
♪陽のあたる坂道を自転車で駆けのぼる。君と誓った約束乗せて行くよ。…らららら~(^^♪

さわやかに明るくてかわいくて好感度はかなり高かった一方ストーリーはそれほど印象になく、猫のバロンがとっても素敵だったわ~♡な映画。

主人公はお人よしな17歳の女子高生ハルちゃん。
学校の帰り道でトラックにひかれそうになった猫の王子を間一髪のところで救い出すが、そのせいではた迷惑な「猫の恩返し」を受けるハメに。

不思議なお店「地球屋」にいる命の宿った猫の人形「バロン」と巨大なぶた猫「ムタさん」と共に冒険に巻き込まれる…

「猫の恩返し」はジブリ映画としてはかなりマイナーな作品で、作品の時間も短い。
舞台は日本ですし、ストーリー的にも壮大な物語ではないです。
水彩絵の具っぽい色彩もキャラクターの顔も、いわゆる「カルピス劇場」のパターンからはずれていて、知らなければジブリ作品とは気づかないかもしれませんね。
故にジブリファンではない人が本作を好きだったり「猫の恩返し」が一番好きな映画だ!というかなりコアでディープなファンも存在するらしい。

森田宏幸監督にとっては初長編作品で、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』翌年に制作されたというから、ものすごいハードルがあったんですね。
それにしては大成功といえるできではないでしょうか。小品ながらも長く愛される映画になっています。

実は本作は『耳をすませば』の姉妹作。
『耳をすませば』(1995年)の原作者・柊あおい氏によって描かれた漫画『ユメノ街 猫の男爵』。ヒロイン月島雫が成長した後に書いた物語という設定です。
原作が漫画なので、キャラクターも柊氏の原画を基にデザインされました。

宮崎監督が柊氏にお願いしたのは、「耳をすませば」に登場した猫の男爵「バロン」(フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵)、ブタネコの「ムーン」と不思議なお店「地球屋」を登場させるという点。

ただし、森田監督によって「猫の国」は死んだ猫たちが住む国という原作の設定はやめたそうです。その方が良いですね。

ハルの住む町の風景では、お店の名前などいちいちパロディがあったり、ケーキ屋さんなど実在のお店が登場しているシーンもあるそうです。

声優陣も楽しい。役と本人が被ること。
猫王は丹波哲郎だし。バロンの袴田吉彦、
ナトルの濱田マリ、ルーン王子の山田孝之
いずれも本人とかぶりますね。
そしてなんとハルの学校の先生に大泉洋?こんなちょい役に。

英語版のハル役はアン・ハサウェイですって!英語バージョンも見てみたいです。

テレビ放映では「猫の恩返し」にうちの猫がメッチャ反応してる!という画像が続出しています。
猫も猫が主役の映画はわかるんですね。(=^・^=)
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