Yuya

読まれなかった小説のYuyaのレビュー・感想・評価

読まれなかった小説(2018年製作の映画)
5.0
170分間に散りばめた伏線を
ラスト10分に全て集約してしまう
完璧な私小説のように見事な映画
祖父 父親 息子 男として生きる
全ての人間の心に響く“言葉”が
ここには 綴られている

『昔々、アナトリアで』『雪の轍』
と立て続けに傑作を世に放ってきた
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督
ここにきて 一層に家族 親子という
最小単位の人間模様で またも生きる意味の答えを
小細工無しのロジックで 力強く説いてきたなぁ

あの…語弊があるといけないから
回りくどく言い訳しとくと
たぶん娘に対しては パパが甘くなる分
ママがちゃんと礼儀作法を躾るか
まぁ パパを毛嫌いして ママと対話を重ねるか
で 万事丸く収まるものなのかなぁ…と勝手に思うわけでさ

ただ これが息子の場合 男同士だと
まずは母親や姉や女性親族には
根っからの母性があってさ 簡単に甘くなるし
何より どんなダメ人間でも 許して支えてしまう
ナイチンゲール・シンドローム的な感覚があるじゃん
ま ここでそれに甘んじて それ以外の人間とは
対峙せずに逃げ隠れして 反対意見や自分自身と
向き合わないなら それまでなんだけど
社会の中で自立して やがては家族を形成するような
一人前になる為には 真正面から挑んで
乗り越えないといけないのが父親だったりもして
しかしながら いかんせん女性のように
なんでも言葉で語り合えるかって言うと
そうもいかないから 難しいんだな

この主人公も むしろ父親や人気小説家と
積極的に議論を交わし 自分なりに賛否の判断を下して
自分の人生を自分で前に進めてる感はあるんだよね
当然そこには 若さやすれ違いによる
葛藤やわだかまり 誤った解釈があったりもするけど
自分も父親も家族も人生すら
全てを俯瞰して見直した時
“自分の本質を見つめていたのは誰か”
“誰が何を自分に求めていたか”
そして “生きる意義の本質”に
彼なりの答えを導き出した ラストシーンの行動に
180分間かけて涙腺に溜めてきた 涙が溢れ出てしまった

うん こうゆう映画に数年に一回でも出会える限り
いやぁ こうゆう瞬間の為に 日々映画を観続けてるんだろうなぁ 結局のところ