【サド侯爵夫人】
第二次大戦中、ドイツ軍に占領されたパリ。
ヒロインは高名な女流作家ですが、レジスタンス運動に加わっていた夫が逮捕されてしまう。
夫の取り扱いについての情報を得るために役所に出入りするうちに、ドイツ軍に雇用されているフランス人と知り合う。彼は夫についての情報を提供する代わりに、ヒロインに近づこうする・・・というのが前半の筋書。
ここら辺は、ヒロインの判断の揺れ（相手は本当に夫についての情報を持っているのか、単に高名な作家であり女としての魅力も残っている自分に近づきたいだけなのではないか）が映画に緊張感を与えていて、悪くないと思いました。
しかし後半に行くと、パリが米軍により解放され、ドイツ軍は撤退。そうは言っても行方不明者についての情報は錯綜していて真相がなかなか分からないわけで、その辺の面白さはあるのですが、例のフランス人は消えてしまって消息も分からず、まあ現実はそんなものだと言ってしまえばそれまでですけど、何となく物足りない感じが残ります。また、後半はやや長過ぎますね。もう少し削ったほうがいい。
ヒロインは結局、三島由紀夫描くところのサド侯爵夫人だったのでしょうか。
