チッコーネ

マックイーン:モードの反逆児のチッコーネのレビュー・感想・評価

3.5
映画『ホイットニー』について「暗い。もっと彼女の良い面を伝えて欲しかった」という趣旨の意見を挙げていた人がいたのだが「え~、ホイットニーのヒット曲なんて、もうイヤという聞かされたじゃないのよ」と思っていた。

しかし本作を観て「マックイーン本人の絶望より、作品をもっと観たかったし、デザインの革新性やオリジナリティについて、詳しく専門家に語らせれば良かったのに」という意見を持ってしまった。
つまりこれまで、モードの捉え方を間違えていた僕のようにダメなゲイは「何も知らないし、ものすごく勉強が足りなかったのだ」と自戒…。
彼のややチープな初期コレクションがなぜそれほど注目を浴びたのか、いまひとつ実感として理解できないのだ。

とは言えジバンシィやグッチに迎えられ、お金が回るようになってからの彼の作品が非常に美しく、面白いのはわかるし、死の匂いが濃厚に漂うショウの世界観にも共感する。
どんなデザイナーでも初めは孤立無援だが、有力な後ろ盾を得たうえで才能を順調に発揮しさえすれば、その過程で洗練されていくという業界の流れも、本作で縮図のように伝えられていた。

今後は彼の作品全体を俯瞰できるアーカイヴを、自分で探してみようっと。