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マックイーン:モードの反逆児のmaiのレビュー・感想・評価

3.9
マックイーン・ブランドを身につけたこともない大学生ですが、触発されるものがたくさんありました。

展開としては、彼の主催したショーを基軸に進んでいきます。ふとすると、「中二病」と揶揄されそうなスタイルですが、彼の手にかかれば「みんなが見て見ぬ振りする現実」へと変貌します。
彼自身の「有名になればなるほど孤独」という感覚の無情さをひしひしと感じながらも、周りの人の「天才のニーズに合わせる辛さ」も同時に痛感して…「大成功」と言われるファッションショーの裏を知れて、いい意味で良かったです。

そして、これもいい意味で作り手側の意図が全く感じられないんです。
インタビューの形式をとると、どうしてもインタビュー側の「どういう解答を引き出したいか」が透けて見えてしまうのですが、今回はそんなことなかったです。
インタビューしているのだけれど、デザイナーたちが自主的に語ってる様に感じたし、彼の言葉を流す際の映像も彼への尊敬で溢れていました。
ドキュメンタリーらしからぬ、故人マックイーンのリアルな姿を感じれたような気がしました。

天才は「寂しい」形でのリタイアが多いようにもいますが、マックイーンはまさにその代表格のような気がします。私自身、彼がどういう経緯で自殺したのかというのを何となくは知っていたので…中盤のエネルギッシュなショー観ながらも、心の中で彼の自殺に対しての心準備をしていました。
彼の心の中は、彼自身にしかわからないし、どんなに近しい人でも推し量ることでしか知れない領域ではありますが、天才だからこその孤独はあったと思うし、それを支えてくれる人物の死(マックイーンの場合、イザベラと母)は受け入れがたいものだったろうと思います。

ファッションを扱った映画の何がいいかって…そのエネルギーなんですよね。なんだか、解消できないままの熱をぶつけてる感じがいいんです。私たち一般人なら、カラオケとかドライブとかで発散しそうなあれやこれやを、彼らは芸術に委ねるんです。それが高尚かどうかは判断しかねるけれど、私にとってはあまりにも魅力的ですし、マックイーンに関して言えば、彼の催すファッションショーの満ち足りなさの権化とも言える出来は何回見ても鳥肌が立ちます。
その発想力と勇気はどこからやってくるのだろう?という感じです。
試行錯誤もしていたけれど、それと同じくらい彼の閃きと発想力に委ねられた指揮に驚きました。
そして、どのショーも、カジュアルスタイルではないけれど、真似できないほどの煌びやかさではないのがいいんです。

変な話ですが、この映画で私も触発されたので、大学生としての勉強を頑張ろうと思います。笑
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