雨丘もびり

ペット・セメタリーの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)
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わぁつまんねー!エンドロールでぞろぞろ退席者が。
「脚本は原作小説のWikiページです」みたいな薄っぺらさ!

心情をぜーんぶ台詞でしゃべるせいで、登場人物たちの死生観がペランペラン。
主人公ルイスが、家族の悩みに取り合わずリクツで丸め込む軽薄な夫だから、どんな悲劇に見舞われても何とも思わない(死んでも私の髪はさわらせない)。エリーが戻って来てビビるの意味不明。
わたしかなしいっ!ていう奥さんのアザトい女座りにゲキ冷め。
キャラクターを大切に描いてよ。映画の都合で姉の写真を持たせんなバーカ。台無しじゃん!
恐怖表現もエスターの1/20以下。がっかり!!

ギリアムのドンキホーテに感激しまくった後に観たから、熱冷ましにはぴったりだったけどね。

...なので、この日のために頑張って読んだ原作の感想を書きます!
ey! o! let’s go!



__土___士___士___士__,, ,,_士__

【家族が加齢や病気で変貌してゆく】
それまで一緒にいるのが自然だった相手が、のたのたよろよろ動くようになり、異臭を発し、取り繕うことをやめ、堪え性なく横暴に振る舞うようになったことで、近寄りたくも無くなる。

オカルト設定を剥ぎ取れば、"老い"の小説だなって感じた。
臭いの描写が容赦ない。おぉぅ、めちゃわかりみ。

家族とはある秘密の上に成立している関係性のこと。
夫婦どうし親子どうしの間で"口にしてこなかったコト"があるからバランスを保てている。
それが、人間が確実に死に向かって進んでゆく過程で、均整を失い、嫌悪や遺恨がぞろぞろ湧いて出る。
ヤなおはなし書くよねー(-"-;)。葬式のシーンとか最悪で、ツラすぎて泣きそうだったもん。

子供が死を理解しようと試みて、未熟な価値観にすり寄せることで発生させるザンコクさも生々しい。

死んだ家族への未練というより、家族の死に対して何もできなかった自分を怨んで、鬼になる医師の話でした。
良心を頑なに育んでしまうと、凶々しく開花する。
自分が澄みきった善き人でないことを赦さない作家、スティーヴン=キングの傑作でした。

中/短編も含め、いままで読んだキング作品の中でいちばん読みやすかったわ(ITは上巻の序盤でザセツしたのw)。
対訳のことば選びが古くてノイズだったなー、新訳希望。