都部

ピーターラビット2/バーナバスの誘惑の都部のレビュー・感想・評価

2.5
本作の命題は『商業主義批判を兼ねた自分らしさの追求』『等身大の自分と身を置く環境を受容する』ことにあるが、前作の映画としての独自性を捨てて本作で安っぽいハートウォーミング路線に走った姿勢はまさに作中で批判される商業主義的な創作であり、牙を抜かれて飼い慣らされた獣たちの不出来な曲芸を眺めるような所感は拭えない。

悪党バーナバスに感化されたことで、再び人間VS獣の構図でクライム擬きをピーター達が繰り広げるのは作劇上 愉快なので構わないが、前作においてその構図に切れ味があったのは人と獣のどっちもどっち感に恵まれていたからである。本作はその点に抜かりがあり、やさぐれたピーターの自棄と愚鈍の結果として問題が発生するためにカタルシスとはおよそ無縁の見せ場が続くのは苦痛であった。
画は楽しいが楽しい以上のものがこの映画の騒動にはないのである。

相互不理解から相互理解へと至る展開も駆け足気味で充足にそれが描けているとは到底言えず、微妙に論点のズレたピーターとビアの抱える問題の並走が物語の姿形を曖昧にしているのも気になった。前半と比較すると後半はテンポ感の適切な調整が成されておらず、徐々に尻窄んでいく物語の方向性は華に欠け、子供向け映画として問題のデフォルメ化を追求した為に本作における二者の結論も陳腐化しているように思える。

らしさの追求という意味では各々のキャラクターの魅力が散文的に取り上げられていて、その点は良かった。ただ映画としての厚みは間違いなく薄くなっているから出涸らしのようである。
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