MasaichiYaguchi

青の帰り道のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

青の帰り道(2018年製作の映画)
4.0
才能があっても10代で夢見ていたことが思い通りに叶う人はどれだけいるのだろう?
おかもとまりさんの原案を、真野恵里菜さん、清水くるみさん、横浜流星さん、森永悠希さん、秋月三佳さんという旬な若手キャスト達で藤井道人監督が青春群像劇として映画化した本作からは、夢と現実との落差や、失われた輝きに対する切なさや悲しみが痛いほど伝わってくる。
首都圏に近い地方の町と東京を舞台に繰り広げられる7人の若者の青春に対して、観客は思わずその誰かしらに自らを過去を含めて投影してしまうのではないかと思う。
映画に登場する通学路は田園地帯を何処までも真っ直ぐに伸びていて、そこには何の障害もなくて前途洋々のように見える。
だが実際の社会に出てみれば、道は曲がりくねり、でこぼこで時に転んだりする。
映画はそんな痛みをリアルに浮き彫りにして心に訴えかけてくる。
それでも本作は最後に、青春の痛みや挫折、絶望に対して一条の光を投げ掛けてくれる。
それはノスタルジーに端を発したものかもしれないが、そこにある絆は青春時代に歩んだ道にもう一度立ち返らせてくれるような気がする。