爆裂BOX

HUNT/餌 ハント・エサの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

HUNT/餌 ハント・エサ(2016年製作の映画)
3.6
アムステルダム郊外で牧場を営む一家の惨殺死体が発見され、相談を受けた動物園の獣医リジ―は死体の様子から、凶暴で攻撃的なライオンの仕業と特定。しかし警察はそれを信じず…というストーリー。
アムステルダム市内で人食いライオンが暴れまわるアニマル・パニックです。監督は「小さな目撃者」や「ナイトメア・オブ・サンタクローズ」のオランダの巨匠ディック・マースです。今もこうやってB級ながら映画撮ってるのは素晴らしい。
前半は主人公の獣医リジ―が無能な警察に意見進言したり振り回されたりしつつ、TV局のカメラマンのチャラい今カレと、ライオン退治の為に協力を依頼した元カレ中心にした人間ドラマの方に力入れて合間にライオンが人を襲う構成で、100分チョイと長めの収録時間なのでマッタリした感じで進んでいきます。これはこの監督の持ち味と言えるかな。元カレの変人ハンタージャックや、気弱で真面目な刑事や、自分達がライオン退治するぞ!と罠仕掛けるアホ三人組など結構癖のあるキャラたちが出て来てその軽妙な会話等が楽しめて退屈はしませんでしたね。最初の警察の記者会見でビール会社のキャンペーンで運河にサメが出たというワードが出てましたがそっちもかなり気になるな。
署長の従兄弟のボンクラハンターに退治依頼するもアッサリやられたり、アホ三人組の仕掛けたトラップで特殊部隊に被害が出る惨事になったりと結構コミカルなタッチで進んでいくので全体的に暗さはないですね。
本作のライオンはフルCGで走ってる所は微妙に違和感ありますが、この手の作品では上等な部類じゃないかな。デリバリー配達員のバイクを追い掛けるシーンはスリルありました。あれほど堂々とアムステルダム市内追い掛けてたら目撃者もっといそうだけど(笑)襲われた犠牲者の死体や首齧り取ったり、背中の肉引きはがしたりと結構グロいです。路面電車の中に何時の間にかいて乗客が襲われるシーンは見物ではありましたね。ベビーカーに乗ってる女児が襲われたり、家抜け出して公園の遊具で遊んでた兄妹の兄が襲われたり幼い子供にも容赦しません。
後半のジャックとライオンの戦いでは電動車椅子に乗ってライオンを追い掛けるチェイスシーンが見応えありましたね。この監督はちょっと変わったチェイスシーン多い。アムステルダム大学を舞台にした最後の戦いは画適度にスリルあって結構血みどろで楽しめました。ここでそれまで役に立たず事件現場とってるだけだった今カレもちょこっと活躍します。酔ってレストランで銃撃ったりする変人だけど、片足で車椅子のハンディキャップものともせず正面からライオンと戦って、最後誘き出す為にあんな方法とるジャックはカッコよかった。
最後のサプライズ展開はライオンの神出鬼没ぶりや行動範囲の広さから予想付いたけど、豪快過ぎて大迷惑な倒し方は笑っちゃいました。
最後のオチはお約束だけど何体いるんだよ(笑)ライオンはどこから来たのかのミステリーをスパっと放棄した潔さも良いですね。
流石にベテランだけあって安定して楽しめあるアニパニ映画の佳作ですね。