10/28
邦題は映画を見ずに適当につけたに違いなく、あまりにも腹立たしいのでこの欄に感想書きたくないくらい。本当にこういうの多くてやり口が嫌いだし、なにより私自身があのくそ邦題と紹介文のおかげで逆に見るのが遅れたことが悔やまれる。
元のタイトルはダイビング、もしくは水に沈む。
でも海に潜るのはだいぶ後半になってから。
写真家のふたりが出会って、愛し合って子供ができ、一見幸せなカップルに見えるけれど...。
主人公のパスはもともと海辺を題材にしていた写真家で、すごく情熱的に(時には衝動に任せて危険も省みず)撮影旅行に出掛けていたのに、彼女を心配するパートナーができ妊娠し出産し子育てに追われるうち焦燥感にかられていく。
後半セザールの目線になってしばらくしてからようやくタイトルの理由がわかり、前半何度も差し込まれていた、パスの夢想と繋がっていることに気づいて震えた。
幸せなはずなのに自分自身が変えられていってしまうような恐怖と、裏腹の罪悪感に引き裂かれる思いだったに違いないパスの感覚はすごくよくわかり、あの行動は必要だったのだと思う。まがうことなきメラニー・ロラン作品。
でもちゃんとそれがセザール目線で見つめ直され、あのラストに繋がることで、作品としての質もすごく上がっていたと思う。一方的じゃないし。
途中まさに夜の奥、パスの知らなかった世界に誘うなぞの女性的な位置付けでノエミ・メルランが登場するところが最高でした。
今年のベストに絶対入る。