Asino

ジュ・テーム、ジュ・テームのAsinoのレビュー・感想・評価

4.2
10/21

アラン・レネ監督作品なので難解に違いないと身構えていた部分(「去年マリエンバードで」とかマジで寝てしまったし…)と、「エターナル・サンシャイン」の元ネタと聞いて(本当なのかは知らないけど)見ないわけにいかない!、と思う部分の鬩ぎ合いだったわけです。
で、結果やっぱりわかったとは言いがたいがとても好きでした。そして「エターナル・サンシャインの元ネタ説」とても理解。

自殺が未遂に終わった男が、開発段階にあるタイムマシン(1分だけ1年前に戻る)の実験台に選ばれる。簡単な実験のはずが、彼は装置の中でタイムリープ状態になってしまう。
そう聞くとすごくSFぽいけど、やはりアラン・レネなのでSFというよりはシュルレアリスム映画で(だいぶ「ラ・ジュテ」「皆殺しの天使」とか思い出した)(とか偉そうに書いてるけど全然見てないからそれくらいしか引き出しがないだけだけど)、かつ、時間はいじりまくりだけれどもどちらかというと「記憶」についての映画だった。(そういう意味で「エターナル・サンシャイン」)

編集とかタイムマシンの造形とかはとてもシュルレアリスムと言いたくなるのだけれども、いちおう筋はあって、男がタイムリーム(タイムマシンの中のまゆのようなベッドの上に横たわったまま、過去の断片的な時間の間をいったり来たりする)中に彼がなぜ自殺未遂に及んだのかの理由がゆっくりわかってくる。
実験に参加する前はさばさばした様子でもう死ぬ気なんかないように見えたけれど、死にたくなった原因をゆっくり繰り返し再体験させられるような時間を過ごして(その内容はまるで恋愛映画なのだけど)、最後のあの涙。
なんて残酷な話だろうか、と私は思いました。
全然理解が違うかもしれないけど、きっと合ってるも間違ってるもないでしょうし…。とても好き。
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