ハリウッド大作でマーク・ウォールバーグと堂々並び立つイコ・ウワイスの姿を見れただけである程度満足はできると思っていたが、それにしてもこれはやっぱり消化不良感が残る。
冒頭のマークの登場ショットは冴えていたが、ドキュメンタリー感を狙ったらしい撮影や編集の狙いは全体的に空回りしていて、この映画の足を引っ張っている。せっかくのイコさんのアクションもこの撮り方だと活きない(敵の殺し方にひと匙の残虐さが加えられている所には「ザ・レイド」っぽさを感じられて良かったが)。
脚本はかなりお粗末で、『マザー』がひたすら無能過ぎて同じ失敗が繰り返され続けるのも緊張感を削ぐし、最後のどんでん返しもただこの映画の全てを無化してしまうだけだった。続編を狙ったかのような煮え切らない結末も中途半端すぎる。
美点も幾つかあって、ロンダ・ラウジーがあまり活躍しない代わりに大奮闘するローレン・コーハンと終始キレているマークは印象的(それ以外の味方勢が薄いのがまた残念なのだけど)。
マークの手首に巻いたゴムを弾く癖やイコさんの指を動かす癖、ローレンのFワードに反応するアプリといった細部の描写は良い。主人公を筆頭に前線に立つ人々が冒頭から常に精神的にギリギリで、終始Fワードを吐きまくりながらキレているのも妙な説得力があった。
