てるる

ランガスタラムのてるるのレビュー・感想・評価

ランガスタラム(2018年製作の映画)
4.3
祝!全国公開!

英語字幕上映にて鑑賞。
RRR人気のおかげか、そこそこ人入ってたけど僕以外は全員女性だったと思われる😅

ラーム・チャランが俳優人生の転換作と言ってるらしい。

今作でのチャランくんは聴覚障害者かつ短気な田舎の若者役。
ラーマとはまるで違うヒーローとは程遠い姿にショックを受けるかも。

冷酷な村長が牛耳るランガスタラム村。
そこに能天気に暮らすチッティ。
都会から帰省してきた兄は村長の横暴を止めるべく村長に立候補するが…。

前半はおバカな主人公チッティが貧乏でも恋してダンスして楽しそう。

それが後半には村の政治を巡るダークでバイオレンスな展開に。
ラストも「そんな終わり方?!」てなる。
このあたりは南インド映画見慣れてないと衝撃を受けるかも。

個人的にはこういうバイオレンスな南インド映画が大好物なので大満足。
でもRRRでチャランくんをご存知になったファンは大丈夫だろかと心配になったよ…。

ヒロイン役には傑作タイムリープ映画「24」や、ヴィジャイさんの「マジック」などのサマンタちゃん。
とりあえず恋愛パートが短いのが良い。

英語字幕が読み取れないところもあったので、全国公開されたらまた観に行かなきゃ!
あとスペボさんのパンフが毎度情報充実してて素晴らしいのでそれも楽しみ!

---------2023/7/15追記-----------

日本語字幕版が公開されたので早速鑑賞。

ここからネタバレ含みます。












ラーム・チャランが役者人生のターニングポイントという理由が2回目観ると分かる。

ある真実が分かった後で観ると、あの議員を助けて面倒を観るシーン、議員が回復した後のシーンの重みが伝わってくる。

死ぬなという気持ちと憎悪。
憎悪と復讐のために目が覚めたことを喜ぶ複雑な演技が如何に難しいか。
この演技が後の「RRR」に繋がることがよく分かる。

そして恋に落ちて盲目になってる時に兄に買ってもらった補聴器を外してしまった事が、後の悲劇にも繋がる。

そのことを思い出すシーン。
それまで警察に殴られても難聴ということを隠していたチッティが、その後補聴器を付けて難聴であることを普通に言っているシーンは涙無しには観られない。

チッティのヒロインに対する態度に「ん?」と思ってしまう部分もあるけど、インド映画にはよくある。
これからの時代、そこは変わって欲しいと期待するしかない。

兄貴が立候補してからは兄弟愛と、更には尊敬の気持ちが芽生えてきて、恋よりも兄貴の命を重く捉えてしまったことを表すシーンでもある。

あと、ランガスタラムを田舎の無知な人々のことと思うなかれ。
これ今の日本と何ら変わらない。

野党が弱すぎてほぼ一党独裁。
増税につぐ増税ばかりの政府なのに、盲目的に自○党に投票する大人たちや投票にすら行かない人たち。

プレジデントに騙されてると訴えている兄貴を差し置いて、プレジデントを盲信する村人たちや投票すらしない人たちと何ら変わらない。

そんな社会派なテーマと復讐劇という映画としてのエンタメが両立しているのは、さすがインド映画としか言いようがない。
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