映画太郎

夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年の映画太郎のレビュー・感想・評価

3.2
内容は教科書的で目新しさはないが、資料的価値は高い映画。大切なのは、拘束具の有無とか閉鎖か開放かといったことではなく、患者と「人として向き合う」こと。その普遍的な価値を見直す良い機会となった。

松沢病院医院長の「ケミカルな(薬による)拘束」という言葉は印象に残った。薬を見えない拘束具にしてはならないと。

映画は「この国に生まれたる不幸」を強調したがっているようだったが、理想と現実のあいだを行き来しながら、精神科医療は着実に進歩しているように思える。呉先生の意志は、医療福祉関係者たちに、当事者たちに、その家族たちに、確実に受け継がれていると思う。