ハル

search/サーチのハルのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
4.0
パソコンの画面内で物語が完結してしまう、斬新かつトレンドを感じさせる一作だった。
まるで『SNSをやってる人が行方不明になったらこうしなさい!!』という指南書を見ている気分。
発端は娘と連絡が取れなくなり、通っているはずのピアノ教室に電話をしたら半年前に辞めていると伝えられたこと。

娘が失踪したことに加え、父親の言動にノイズを滲ませている点も臨場感を際立たせていた。
束縛ではないけど、やり過ぎでやや気持ちの悪い感触。
いわゆる過保護なパパ。
とはいえ、一人娘がいなくなったらこれくらい必死になるんだろうなぁ。

検索スキル高めの彼だからこそ何でもかんでもとにかくマルチタスクで調べていく。仕事のテレビ通話をしながら別ウィンドウで手掛かりを探ったり、片っ端からSNS上の友人達のアリバイをまとめ上げたり。
一切手を緩めない。
娘のSNSアカウントへの侵入もお手のもんだし、一歩間違えばただのストーカーなんだけど、手並みが鮮やか過ぎて普通に凄い人。

ネット得意おじちゃんの本領発揮。
名前さえ分かれば電話番号を教えてくれる業者も活用し、名探偵も真っ青の追跡力!
彼にかかれば“個人情報保護”なんて言葉が無意味に思えてしまう…恐ろしい。
実際、一人で警察を遙かに上回るレベルの捜査力だったもん。

中盤から一気に真相解明へ駆け抜け、中だるみも全く無し。
こっちに転ぶのか!!と切れ味抜群なミステリー要素まで内包されていた。
考え尽くされた見事なシナリオ。
趣向を変えた一級品のスリラー/ミステリーといった感じ。
SNSやスマートフォン、パソコンの中には全ての個人情報が詰まっている事を改めて見せつけられ、恐怖とともに質感の優れた絵のクオリティーにも感嘆。
鑑賞後は各種セキュリティーを日頃からきっちりしようと思うはず。
お父さんが敵に回ったら、パスワードの使いまわし等は一瞬でやられちゃいます。
ハル

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