ハル

i aiのハルのレビュー・感想・評価

i ai(2022年製作の映画)
3.8
公式LIVEイベントに招待された縁でトークショー付き上映会へ参加。

音楽にハマったどこまでも格好良くてダサい、何かに魅せられた奴らの物語だった。
もっとアート寄りの作品を想定していたが、この形で良かった。
森山未來演じるヒィ坊を中心に展開される夢追い人達の群像劇。

ヒィ坊が破天荒すぎて、それだけでエンターテイメントが成立してしまう。
“圧倒的な個性”を頼りに社会のレールから完全に外れた男。
世界観と森山未來固有のアイデンティティが、ピタリと合致。
真似したいわけでも、できるわけでもないけど、なんか気になり、周りを引き寄せてしまう存在がスクリーンで暴れまわっている。

そして…瑛太の凄みも際立つ。
ヒィ坊と敵対関係のヤクザを演じた彼は生粋の役者。
人間味を突き詰めた芝居で感性の塊に対抗していた。
やはり、凄まじいね彼は。
二人のバチバチのやり合いは怖いくらいの迫力でグイグイ引き込まれる。

人生を棒に振っても“自由”という魔力に魅了され続ける哀れなチャレンジャー達。
決して褒められる歩き方ではなく、彼ら自身も称賛を求めていない。
ただひたすらに荒削りな思いを凝縮させて解き放つ映画。

敢えて言うならば、LIVEシーン少なめなのは残念だったかな…
新人監督ならではの切り口と感性で彩られた異色作でした。
セオリーを無視している部分も多くあり、万人向けではないですが、ハマる人にはとことんハマるやつだと思います。
ハル

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