MasaichiYaguchi

モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
ゲームアプリ「モンスターストライク」の世界観を活かしながら、天と地に分断された東京を舞台に人間とモンスターとの相克を描く本作では、世界で再燃し始めた隔離政策をテーマにスケール大きく物語が展開していく。
ある日突然、分断されて空中に浮いた東京の一部、「天空の城ラピュタ」を彷彿させるような舞台では、主人公カナタが空色の髪の少女ソラに誘われ、敵対するセンジュとの戦いを通して自分は何者なのか、何の為に戦わなければならないのかを見出していく。
そして、物語の進行と共に何故東京が分断されて空中に浮いてしまった背景も解き明かされていく。
この物語を牽引するカナタとソラのボイスキャストは、プレスコ初挑戦の窪田正孝さんと広瀬アリスさんが担当していて、声優さんとは一味違うキャラクター造形になっているように感じられる。
この2人を山寺宏一さんや悠木碧さん、細谷佳正さんらの実力派声優陣がバックァップする。
そして豪華キャストによって紡がれる物語をCG、VFX、作画を調和させた「ハーモナイズ3DCG」で描くのは老舗スタジオ・オレンジ。
絵の美しさ、その迫力には今までの3DCGをバージョンァップさせたような感覚を抱かせる。
本作では「月の穢れ」というものが登場するが、人にとってもモンスターにとっても禁忌な存在に対して「臭いものに蓋」をしようと奔走する者達が登場するが、本作では厄介ものは単純に排除すれば良いことなのかと疑問を投げ掛けているような気がする。
特に終盤の展開で感じられる、誰にでもある「穢れ」の部分、異質なものに対する嫌悪、そういう部分も含めて“共存”していくことの意味を説いているような気がする。