めしいらず

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~のめしいらずのレビュー・感想・評価

3.1
それぞれ進級して上級生となった吹奏楽部のメンバーが、癖の強い新入部員たちの指導に難渋しながらも互いに成長していく。立ち回る術に長け、何もかも知った風な口を利き、本性をなかなか掴ませない一年生カナデのグロテスクな人間像がよく出来ている。そんな彼女と関わることで二年生になった主人公クミコが己の未熟な部分と対峙し人間として深まっていく。頑張った上で徒労を感じる結果になるよりも批判されないことを選ぼうとするカナデを、頑張って上達した人は学年に関係なくちゃんと報われるべきだとクミコが諭す場面がハイライト。そして迎えた地方大会。皆がどれだけ本気になって取り組んだからと言って、どんなに満足いく演奏ができたからと言って必ずしも報われる訳ではない。どの学校も目指すところが同じである以上、思い通りには手が届かない当たり前。この手のフィクションにありがちな安易なハッピーエンドにしなかったのが好もしい。「悔しくて死にそう」と言葉が漏れてしまうほど一生懸命になった経験は、必ずどこかで役に立つ日が来る。
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