かつて一つだったものが紆余曲折を経て再び一つになる話かと思ったけども、クローネンバーグは本作において、それを肯定的に描いているのか否定的に描いているのか微妙に分からなかった。最後に、兄弟で互いに誕生日おめでとうと言い合うところなど、「ビデオドローム」だったらロングリブザニューフレッシュ‼︎に相当するところだと思う。辞世の句、あるいは前向きな宣言なのだけども、互いに幼児退行しながら言い合うのが気持ち悪い。突き放した描き方。
兄弟という点では「スキャナーズ」が連想されるし、「スキャナーズ」の主演スティーブン・ラックが芸術家役で出演したりしてる。
女性をきっかけに兄弟関係が悪化するのだけども、それもただのきっかけに過ぎず、いつか起きるはずだったことが起きている。
赤い手術着を着る場面などは禍々しさがあって良かった。
傷メイキャップに美的なものを見出すのは後の「クラッシュ」につながってくるんだろうなという印象。