垂直落下式サミング

スマホを落としただけなのにの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

1.5
中田秀夫が久々に本気を出した新時代ホラー到来かと思ったが、アルピー酒井ちゃんの戦闘シーン以外ミドコロは皆無!
説明過多なセリフとカットバック、これ見よがしのバカみたいなミスリード、大袈裟にわめき散らす陳腐な悪役、緊急事態に身の上をくっちゃべるヒロイン、それをはなし終わるまで待っていてくれる真犯人のお人好しっぷり等々、邦画の悪い癖が引き伸ばされて羅列されている。サスペンスとしてもホラーとしても機能していないし、ラブロマンスとしてもタルすぎる。
泰造やバカリズムのような芸人出身演者たち脇役の再現ドラマ感はいいとして、目に余るのは本業が役者であるはずの面々だ。
要潤は本作における自分のキャラクターの立ち位置を理解してさすがの器用さでそれらしく演じているが、他の人たちの表情は映画館のスクリーンの大きさを意識していない。劇場用映画なのに一時間番組のテレビドラマとおなじテンションでやってどうすんだ。
お得意のチンピラ口調で刑事と取っ組み合い半ケツを披露するという酒井ちゃん入魂の30秒が、本作屈指の名演に見えるって何の冗談だよ。
1から100まで言って聞かせなきゃわからないだろうと観客を舐めた映画は、観ているあいだの溜め息の数が増える。