「私の歯車に過ぎなかった。
私の任務は簡単だ。
祖国を破壊から守ること。
君たちと同じだ」
ホロコーストを淡々と遂行したアイヒマンがユダヤ人に言った言葉。
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1960年。
イスラエルの諜報員たちが
アルゼンチンに逃亡していたアイヒマンを捕まえる。
すぐにイスラエルに連れていき裁判する予定だったが
飛行機が来ない!
それから10日間。
アイヒマンを軟禁しつつ、諜報員たちとアイヒマンの交流が始まる。
自分の家族や仲間たちを斬殺した悪魔(アイヒマン)の食事の世話や下の世話をしなきゃないし、
運動不足解消のために体操させたりするのが面白い。。
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「アイヒマン=悪魔」という結論しか許されなかった頃に
アイヒマンのことを「中間管理職」風の典型的な「小役人」と評したのが哲学者ハンナ・アーレント。
「中間管理職」風の典型的な「小役人」っつったら
ほとんどの人間のことですよ。
ほとんどの人はアイヒマン=自分だと言われたわけです。
世論はハンナ・アーレントを批判しました。
ってな様子を描いたのが『ハンナ・アーレント』(2012)。
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ちなみに
このアイヒマン捕獲作戦をドイツ側から描いたのが
『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(2015)。
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この2本に比べると、この映画はだいぶ軽いですね。。
監督のクリス・ワイツさんは普段は脚本家メインのようです。
『ニュームーン/トワイライト・サーガ』は監督されてますが。
なんか、絵的な緊張感がないんですよね。。
上記2本のような格調の高さもないんだけど、まぁそれは監督が撮りたい映画それぞれでいいと思うんですけど、
この映画は結構エンタメサスペンスだと思うので
もっとドキドキさせてくれなきゃ困るんですけど。。
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薄〜〜〜いラブ要素も邪魔だし(実話だったらごめんなさい)
話の起伏も「そろそろこんな展開にしとうこかな」臭がすごい。何でだろ。
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ま、いろんな視点で、いろんな描き方でナチスについて、ホロコーストについて記録されてくのは良いことだとは思うんですけどね。