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The Witch/魔女のミスターのレビュー・感想・評価

The Witch/魔女(2018年製作の映画)
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施設から逃げてきた少女が優しい老夫婦に育てられ幸せに暮らしていたが、次第に自身のルーツにかかわる集団に狙われていく話。
最後のアクションは壮絶。一辺倒なガンアクションで圧倒するのではなく、緩急があり魅せるアクションという印象。ただそれ以外にも見どころが多い。地味な場面だが、老夫婦の奥さんのほうがアルツハイマーを患うことで主人公のことを娘と認識できない場面は、彼女のアイデンティティの曖昧さと合致しており、より切ない気分にさせられる。自身が本当は誰なのか、それを改めて問うつらさを押し殺し、優しく話しかけるヒロインの姿には胸を打つものがあった。
...と思っていたらこのヒロインはそんな運命に翻弄される悲劇の主人公というポジションではなかった、という展開は鮮やか。オーディションにでたために居所がばれるのでは展開としてはギャグのようだなと感じていたら、実際はすべて彼女の計画通り、という展開には震えるものがあった。そのうえでこの主人公はまさに「魔女」と呼ぶべき悪徳と能力を持つだけでなく、しっかりと善意を持っているというのがより魅力的。自身の計画のために育ててくれた人や友人を利用してしまった責任として、一人旅に出るという結末は、単なる魔女ではなく、魔女としての本質と同時に良心を持っているという証拠。
アクションにとどまらない魅力のある良作。
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