なおこ

愛がなんだのなおこのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
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綺麗に丁度良く愛することってきっとできないし、そうしようと努力する時点でそれは愛じゃないのかも。

テルちゃんが愛を、その質量のまんま行動に移せるところ私は好きだ。
いますぐ会いたいからいますぐ会いにいく。ご飯作ってあげたいから作る。掃除してあげたいからする。だってマモちゃんが好きだから。マモちゃんマモちゃんマモちゃん。側から見たら常識はずれでイカれてる人間に見えるだろう。悲しいことに愛するマモちゃんからも迷惑がられる始末。

でも、テルちゃんはかっこいい。テルちゃん自身の恋愛をしてるから。
私自身恋愛経験が多いわけじゃないからよくわからないけれど、そんな私が考えるに……
成功した恋愛関係とは、お互いに都合のいいように満たされるかどうかで決まるのではないかと思う。で、その場合、愛を送る側も愛を受けとめる側も、お互いの気持ちを重視してはいるんだけど、それだけではなくて周囲の評価や既存の恋愛の型をかなり気にしてるのでは?世間体や恋愛の正常性を、都合の良し悪しの判断基準として持ってる気がする。うまくいえないけれど…
狂ってない普通の恋愛、人に見せられる恋愛、丁度いい素敵な恋愛、を求めてる気がする。相手の愛を求めると同時に。

でも本当の愛は、テルちゃんのように狂気をはらんでてもおかしくないんじゃないか。好きすぎて勝手にそうなってしまうことにこそ、その人自身の恋愛、愛がある。そう、愛や愛情表現はもっと個性的でいいはずだ。依存も束縛も、きっと全部愛。愛は、訳あり、問題ありでいいはずだ。

でもそんな愛の形を、自己中人的と捉える批評もあると思う。だけど恋愛に限らず人間の生きる根底には必ず「自己愛」がある。人を助けたり喜ばせたりして、最終的に「私が幸せ!」というように。
マモちゃんのことを考えずに思ったままに行動するテルちゃんはほぼ野生だけど、それは当たり前のことだと思う。マモちゃんがそれを受け止められないのなら、それはただただ仕方ないことだ。

仕方ない愛のものがたり。
なおこ

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