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愛がなんだのtsuyocinemaのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
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【愛がなんだ】
アラサーOL山田テルコは5ヶ月前に知り合ったマモルに夢中。マモルから電話がくれば仕事であろうが夜中であろうがすぐに駆けつけ、マモルのオーダーに応える。
それに対してマモルはテルコを都合の良い女として扱っている。そんな扱われ方をしているテルコに友人の葉子(彼女もナカハラを都合のいい男として扱ってるんだが…)は苦言を呈すも、御構い無し。ある一夜をキッカケに急接近したかと思われたテルコとマモルだったが、マモルからの電話が急に途絶える。
マモルから久しぶりの電話に待ち合わせ場所に駆けつけるとマモルのとなりにスミレという女性が座っている…

じわじわと公開館数が増やしており、評判の良さから衝動的に映画館へ。
ヤバい…エグれる…
とにかく勝手にふるえてろ、桐島、恋の渦、500日のサマー、タリーと私の時間…あたり好きな人は確実に観てエグられること必至です。
この観客を見事にザワザワとエグらせるのは心情表現の描き方の妙によるところが大きい。

登場人物のうちに
・自由奔放(そうに見える)なキャラクター→マモル、スミレ、洋子 ・相手に合わせてしまう(自分を大事にしない)キャラ→テルコ、ナカハラ、洋子の母(過去)
が対称的な構図関係にある。
それだけでなく、スミレという自分に正直な人を頂点とした自分に自信がないからこそ相手に合わせてしまう人たちを下層に置いたピラミッドを想起させる関係性の構造。
他者への発言がブーメランのごとく帰ってくる会話劇、そして誰もが寂しさを抱えているというテーマ…
登場人物の性格、情念、関係性を図式的に配置して更に組み替えたりすることでハラハラさせらる心理劇に仕立てる構成は見事すぎる!

個人的にサウダーヂばりのテルコが帰路でラップするシーンと別荘でのスミレのナカハラに対する恋愛観の手痛い「正論」な指摘(これはマモルとテルコの関係を知る観客にとっては苦笑いせざる得ない)するシーンは鳥肌ものだった!いわゆる生涯ベスト級のシーンでした!

最早恋愛を超えた執着のような何かを描いたラブサスペンスホラー(と勝手に呼びたい)の
大傑作!!カメラを止めるなみたいに上映館拡大して多くの人に観て欲しい!!
そして観た人たちと5時間は話せるな!!
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