マインド亀

モンスターハンターのマインド亀のレビュー・感想・評価

モンスターハンター(2019年製作の映画)
3.0
「ギブミーチョコ!ギブミーチョコ!おくれよおくれよ兵隊さーん!ヘイ!」
異文化交流はやはりチョコレートから。

●というか、ニッポンみたいにアジア系にはチョコレートやっときゃだいたい懐柔できるだろ、とかいう米国人の考え方、舐めてんのか?とか思うのですが、そりゃチョコレート美味しいもん。私も好きですよチョコレート。

●てなわけで、アマプラで見放題終了間近なのと、あんまり頭を使いたくなくて、とんでもなく偏差値の低い映画が良いなあと思い、選んでみました。
正直、『モンスターハンター』はプレイしたことがないのですがだいたいどういうゲームかは一応知ってるってレベルです。
なのでこの映画に対して「この夫婦にゲーム映画撮らせんな」だとか「猛反省しろよ」だとか仰ってるガチ勢の皆さまと比べると、まだフラットに観ることが出来ました。

●まあ、ゲーム好きな方が怒っておられるのも分かります。
『モンスターハンター』を観に来たらいきなり『戦国自衛隊』でそこから『DUNE』が始まり、次に『ミスト』『エイリアン』みたいなスラッシャーホラーみせられて、いよいよ狩りが始まる!と思ったら現代世界でダイナマイトとか銃火器系みたいなんで戦闘…そして今からというときに終わる…とまぁ、原作ゲームを知らない私でも、そりゃ違いますよね、となりますよね。
『バイオハザード』とは違い、元々主役とかストーリーがないアクションゲームなだけに、ストーリーを動かすキャラクターとして『ゲーム世界の外から来た異物』にその役目を与えたのかもしれませんが、こういう設定はゲームユーザーが正直一番嫌う設定なんですよね。『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の悪夢を再び見た気がします。まあ本作は、ゲームの世界とは言ってませんが…

●とは言え、ポール・ダメな方・アンダーソンと揶揄されてはいる監督ではございますが、同じくゲーム原作の『バイオハザード』シリーズが『ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』で原作に比較的忠実なリブートを失敗して以来、再評価の波がキテおります。
つまりいくら面白いゲームを原作に忠実に映画化しても面白いわけではなく、ポール・W・S・アンダーソンのアレンジのほうが映画として面白かった…というような評価ですね。
私としても、やっぱりポール・W・S・アンダーソン夫婦はいつまでも、「活劇」を撮るということにかけてはブレてないという信頼性があるわけで、ここまで来ると原作をどんどんとぶっ壊してでも偏差値の低い映画を作り続けてほしいと思うんです。
しかしながらここに来て『スーパーマリオブラザーズ』のゲーム体感型映画が大成功を納めてしまいました。
ここにゲームの映画化のあるべき姿のヒントがあるのかもしれません。『スーパーマリオ〜』のように本作でも特訓シークエンスや剣を振るってモンスターと対峙するシーンは、ゲームらしさがあって楽しかったですから…
ゲーマーがそのままゲームを楽しんでいるかのようにひたすらアクションが続く映画でも良かったのかもしれません。
ポールさん、もうそろそろゲーム原作はやめてオリジナルを撮りませんか?

●ゲームをプレイしたことない私としては、正直言いますと、『モンスターハンター』と思わなければ、最初の米軍部隊とモンスターとの交戦や、『スターシップ・トゥルーパーズ』のように次々と隊員が殺されていくところや、『エイリアン』のように卵を産み付けられるホラーのようなシーンは、めちゃくちゃ面白かったです。
人間では到底太刀打ちできないような絶望があって、本当はこっちをやりたかったんじゃないのかと思うくらい力が入っておりました。
映画『トランスフォーマー』で、砂漠でサソリ型デストロンと対峙する米軍の写真を観てワクワクしていたのに、本編ですぐに終わってガッカリした私としては、この作品で観たかった絵がたっぷり観られて満足でした。
むしろこの路線でお願いしたかったです!

●それで中盤になってようやくゲーム『モンスターハンター』らしくなって来るのですが、ミラジョボがなぜか一人だけ助かる理由も、大した特訓もしていないのになぜか剣技で最強クラスな理由も、もはやミラ・ジョボビッチだから、としか言いようがないです。
で、異世界のCGバリバリの背景で、いよいよ集まった仲間達と狩りが始まるよ!!
ってなったと思ったら、いきなり現代世界の砂漠に戻るわ、仲間が二人だけになってるわ…スケールダウンが半端ない………

BLACKHOLEで高橋ヨシキさんが『モンスターハンターの後半になって予算を使い果たした感が半端なくて面白い』と仰ってたことが全て納得の出来。

そして唐突に映画が終わります。ジャンブの打ち切り漫画かよ!?この出来はなかなか他の映画で観られない(笑)
多分ゲームの良さが全く活かしきれてないまま終わったのだと思います。
これだったら仲間あんだけいなくてよかったもん、絶対に予算不足ですよこれ!
ゲームらしい部分で20分長くても良かったかなぁ、と思いました。

●『マッハ!!!!』を映画館で観て以来大ファンのトニー・ジャーが出ていたのも嬉しい限り、ですが観たかったアクションとはちょっと違うんだよなあ。
ロン・パールマンもなんで出たかもよくわからん。なんかのバックグラウンドが、あるんでしょうけど、シリーズ化が見込めない今となっては、それが分かることはもう無いでしょう。

それ以外の仲間たちも気になる人達がたくさん居たのに、いきなり出なくなるので残念過ぎます。

●あと、音楽が電子音楽のカーペンター風味なのはかっこいいですが、ゲーム原作のいちばん有名なやつ?を予告でしか使ってないのはどうかと思います。せめてそれくらいはファンに目配せしてもいいんじゃないの━━━━?

●まあ、任天堂も『スーパーマリオブラザーズ』で成功を収めたことですし、カプコンもそろそろ自社のIPをもう少し大事に扱ってみてはいかがでしょうか。でも『バイオハザード』CGアニメシリーズは、見た目はゲームのまんまなのに面白い作品ないからなあ…
組む相手を真剣に考える方が良いですね。
でも、ワタクシ的には色々と面白かった作品ではありました!観て後悔は無かったです!!
マインド亀

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