HAYATO

永遠に僕のもののHAYATOのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.6
2024年56本目
1971年のアルゼンチンで12人以上を殺害した連続殺人事件の犯人であるカルロス・ロブレド・プッチの実話を基にした犯罪ドラマ
17歳の美少年・カルリートスは、ほとんど罪の意識を感じることなく、遊びを楽しむように犯罪に手を染めていた。やがて彼は新しい学校で出会ったラモンという名の不良青年に魅了され、2人でコンビを組んでさらなる罪を重ねていく。
本作が映画デビューとなる新星・ロレンソ・フェロが主人公カルリートスを演じ、『嵐の中で』のチノ・ダリン、『トーク・トゥ・ハー』のセシリア・ロス、『アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜』のピーター・ランサーニなどが共演。
主人公のモデルとなったカルロス・ロブレド・プッチは、アルゼンチン国内では非常に有名な人物だそうで、常軌を逸した極めて残忍な犯罪行為もさることながら、その美しい容姿に注目が集まり、中には彼を「死の天使」と称して崇める者もいたんだとか。
監督のルイス・オルテガによれば、本作はカルロス・ロブレド・プッチの伝記ではなく、監督自身の思い出を取り入れながら制作した創作物であるそう。
身を案じる家族のことなどお構いなしに、まるで娯楽を嗜むかのように犯罪を重ねていくカルリートスは実に狂気的で、彼にとっての生きる喜びは、ラモンと盗みを働くことだけだったようにすら思える。
カルリートスが大量の警察や兵に包囲される中、”El Extraño del Pelo Largo”に合わせて踊るシーンは、『Saltburn』のラストで“Murder on the Dancefloor”に合わせて踊るバリー・コーガンの姿を思いだすと共に、『アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜』で描かれていたアルゼンチンの軍事独裁政権の到来を示唆しているようで不気味なエンディングだった。
HAYATO

HAYATO