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永遠に僕のもののmaiのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.7
実際にあった事件で、遺族もまだご存命だろうから…その辺りは複雑な気持ちになるけれど、この表面を滑っていくような掴み所のない映画の雰囲気とカルリートスにいつのまにか飲み込まれてました…。

「死の天使」とまで言われていたそうですが、その正体は多分サイコパスに近かったのだろうと思いました。
彼に大きな変化があるわけではないのです。正直、冒頭の彼とラストシーンの彼はそのどこか狂気じみた雰囲気まで含めて、大きく変わったかと言われると「そうでもない」と感じました。
彼にとっては「参ったな 悪ふざけが高くついてしまった」くらいの気持ちな気がします。相当な大罪を犯してるにもかかわらず、彼は一貫として飄々とした佇まい(途中に涙を流すシーンはありましたが)で、恐ろしいくらいに躊躇がありません。
どこまで行っても、彼にとっては「小さな盗み」の延長線上にある悪ふざけでしかなかったのでしょう。

この掴み所のない少年を主演のロレンソ・フェロが完璧に演じてました。
いつも無垢を装ってる表情に、ふとしたときに見せる子供のような表情、そして狂気じみた表情…どこ切り取っても彼の独壇場でした。
チノ・ダリン演じるラモンも十二分に魅力的なのですが、それですら霞んでしまうくらいカルリートスがカリスマ的でした。
気だるげな目線や腫れぼったい唇などなど色気が凄かったです。笑

ストーリーとしては、カルリートスの言動と同じように淡々と進んでいくので、最後の最後まで彼がどうなっていってしまうのか分からないのも魅力です。

テンポもいいし、音楽や演出もオシャレで、さらにロレンソ・フェロの圧倒的なまでの存在感…。どこ切り取っても好みどストライクの映画でした。

邦題は間違いではないけれど、彼の同性愛的傾向に重きを置きすぎでは…?なタイトルな気がします。
映画見終わったあとに「なるほどね」となるので、良いタイトルだとは思いますが…。
まぁ原題の「天使」をどう弄っても、日本語だとどこか中二病感が漂ってしまうと思うので、賢明な判断なのかもしれませんね。

取り敢えず!
この夏、要注目な作品の一つだと思います。
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