THE GUILTY／ギルティのたわしのネタバレレビュー・内容・結末

前評判通り、緊急コールセンターの通話シーンだけで物語を進行させて全くダレさせない脚本と演出は素晴らしかったです。でもこの映画は離れ業的演出のアイデア一発映画ではなく、主人公の成長が説得力を持って描かれていて、そこが一番良かった。
おそらく懲罰人事でコールセンターに飛ばされた様子のアスガーは、軽傷だったり、主人公基準で自業自得と思ったケースはまじめに対応せず、有能ではあるけど、とても模範的とは言えない仕事ぶり。自分は本来ここにいるような人間ではないといった様子で、周りを下に見ている。シビアなケースが舞い込んできて、協力を仰ぐべき場面でも相談しない。
懲罰の一因となったのであろうスタンドプレーぶりを発揮して手掛かりを集めていくけれど、真相が判明すると事態をかえって悪化させていたことがわかり、自分の独善性をつきつけられ、周囲の協力を仰ぐようになり、最後自殺を止めるやり取りの中では、アスガーは他者の中に自分を発見する。他者を救済することで、自らも贖罪という自分自身の救済に至る流れには引き込まれたし、自殺を止めるために罪の告白をすることで主人公が置かれた事態が明らかになる構成にも唸らされた。