いずぼぺ

イーディ、83歳 はじめての山登りのいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.5
何も遅すぎるってことはないさ

30年に渡る夫の介護を終えた83歳のイーディ。
今はなき父との果たせなかった夢を叶えに出発する。

これだけの情報なら「ばーちゃんガンバレ」物語を想像してしまうのだが、本作の根底にあるものは深い。
イーディは若いうちに結婚して子供を持ち、そろそろ自分の時間をと思った時から夫の介護が始まっている。誰かの娘、誰かの妻、誰かの母であった時代は長いが「ただのイーディ」であった時間は短い。もちろん、娘、妻、母であることは素晴らしいことだ。でもこの3つは家族関係の中で成立する「役職」のような側面もある。放棄することもできる「役職」ではあるが、自らの意志とは別に文化、時代、経済的に放棄することも困難なこともある。
イーディがどのような30年を歩んできたかは彼女の言葉から推測するしかないが、生半可な日々でなかったことは間違いない。

さて、本作に出てくる人はあんまりいい人はいない。主人公イーディもなかなかトンガッた御婦人である。
一番いけすかないのは娘である。いや、施設入所が悪いと言ってるのではない。母娘であるからこそ、誰よりもイーディの30年におもいを寄せることができる存在なのに。あの言いぐさはなんだ!!(●`ε´●)
ジョニーの彼女もあんまりにも勝手だ。
とまあ、脚本の設定にまんまとのせられて愉しんだわけです。

イーディが目指したスコットランド🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿のスイルベン山は791㍍ぐらいだそうだ。大阪と奈良の県境にある金剛山でも1000㍍を越えているので、そんなに高くはない。でも作中でも描かれているようにアプローチが長い!
こりゃ大変だ。そしてザレ場の急登!!
ジョニーも心配ならこっそり後ろからつけてもいいぐらいの難所やないか!
これ、山お久しぶりですのイーディが一人でいくの、ホントはダメよね。気持ちはわかるけどジョニーもガイドさんなら止めないと。

はい、なんだかんだ感情移入しちゃったわけです。
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