このレビューはネタバレを含みます
欲しい愛情をもらえず、でも音楽の神様には愛されたエルトンがセルフネグレクトの果てに自分が何者なのかを自覚します。
『ボヘミアン・ラプソディ』もそうだったけど、エルトン・ジョンの事は名前は知ってるけどどんな曲を歌ってるのかもよく知らない、なんだったら『キングスマン:ゴールデンサークル』に出てた派手な格好のおじいちゃん、くらいの認識しかない人間なので、誰かからの愛情を求め続けた人生だとか、バーニーとの友情だとかもそれなりに胸に迫るものもあるのだけど...何というか、微妙に「美化してる」感が漂ってて、今一つ入り込めず。
アルコール、ドラッグ、処方薬、買い物...と色んなものに中毒になってるとセリフでは言うのだけども、その描写もいきなり奇行に走って病院送られて死に掛けた(はず)なのに次のシーンではもうコンサート会場で歌ってる...と、とにかく薄っぺらい。中毒に苦しんでる描写も、だけど克服出来ない辛さも表現されず、買い物依存に至っては、ただ初めての恋人とのデートに浮かれてるだけにしか見えない。
この辺は、やっぱりリビング・レジェンドの自伝映画という大人の事情なのかも？
歌と人生がリンクしてる...とは言っても、ミュージカル部分と通常のシリアスな演技のシーンが落差があり過ぎて、ミュージカル部分が浮いてしまってる。
『マンマ・ミーア』程は歌詞と状況がマッチしてなかったようにも思えるし、そもそもエルトンが詩を書いたわけじゃないって劇中で知らされてるからねぇ。ちょっと牽強付会な感が拭えない。
観てる間は没頭出来なくもないけど、終わってから改めて考えると「...で、何が言いたいの？」と思ってしまう映画でした。
それにしても、タロン・エジャトンは多彩だなぁ。歌って踊れて弓も射られる。
