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不都合な自由のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

不都合な自由(2017年製作の映画)
4.2
何処と無くケネス・ロナーガン監督作品の匂いを感じる丁寧な演出演技。
なんとなく題名からチョイスして観たのだけど、思わぬ当たり。でも題名はちょっと違うんでないかな?たしかに原題"Outside in"は題訳するに難しいと思うが…

20年前にどんな"犯罪を犯したか犯してないか"の話ではない。
長い期間服役して出所した者の、時代や人の"変化後の中での生きにくさ"。
対して、表面的には変化した様で実は熾火の様に其々の奥の方で"変わらない(変われない)生きにくさ"を静かに、ある意味解りやすい設定で描いている。お話の焦点を絞る為に、教師の旦那は割と安易に描かれていたのは仕方ないにせよチト可哀想だったが。そう感じるのは自分が歳をとってしまったからだろうナ…

こういった派手さは無く、地味で静かな匂いや雰囲気の作品を"暗い"と感じたり、つまらないと思う感覚は自分には一切ないのだが…
然し時々お話の中で自分の体験やトラウマ的な部分に重なったりすると、一瞬、喉や耳の奥の辺りが詰まる様な感覚に未だ陥る。だが、寧ろ其処を避けていたら映画なんて観れない訳で…
笑ったり呆れたり、泣けたり考えさせられたり、耐えられるのか耐えられないのか…映画は色んな意味で、観たタイミングでの現在の自分のバロメーターみたいなもんだよな。
サラッと1h50m魅入れたんだから、マァ観れてよかった。
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