あんがすざろっく

ザ・ファブルのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

ザ・ファブル(2019年製作の映画)
3.5
もう何年も、ジャニーズ出身の俳優さんの活躍が目覚ましいですね。
特に岡田准一さんのアクション俳優としての認識度は高いでしょう。
体格はあまり大きくないはずなんだけど、殺陣でもガンアクションでも、本当に様になっている。
カッコイイよね。

本作も公開時から観たかったんだけど、見逃していたので配信にて視聴。
原作は未見です。



主人公は伝説の殺し屋、ファブル。
どんな相手も6秒以内に殺す。

正体がバレそうになったファブルは、ボスからの命令で、1年間身を隠し、一般市民として生活することに。
その間、誰も殺してはいけない。
相棒と共に「佐藤明・洋子」の兄妹として、ボスが懇意にしている真黒組に身元を引き受けてもらう。

キャラクター設定ありきの話ですね。
まず、ファブル役の岡田さん、今にもフェイタス貼ってくれそうな雰囲気。
原作読んでいるともっと愛着が湧いたのかも知れませんが、彼の猫舌の理由も、ちゃんとあったんですね。
作品で見ると、なんか冗談でやってんのかなぁ?と乗り切れず。
ファブルがハマるジャッカル富岡のネタも、なんかそのファブルの反応を見ても、イマイチ面白いと思えず。

ファブルの相棒役は木村文乃さん。
彼女がチャラ男を酔い潰すのは、何か意味があったんでしょうか…。
例えば、ファブルと組んで仕事をする時の陽動作戦とか。
何だか釈然とせず。


まぁ、主役の二人がこんな感じなので、では脇を固める方々はと言うと。

二人のボス役に、佐藤浩市さん。
出番は少ないながら、さすがのオーラ。

真黒組の若頭、海老原に安田顕さん。
この人が一番カッコイイ‼︎
時代の流れに翻弄されながらも、昔堅気の男らしさと、ヤクザらしい血の気と、少しの情けなさと。
次作ではもっと活躍して欲しいですね。

その海老原と敵対し、若頭の座を狙う真黒組幹部の砂川に、向井理さん。
野心を隠さない好戦的な雰囲気が、ビリビリ伝わってきます。

ファブルに心酔し、いつかはファブルと対峙することを望む殺し屋、フードに、福士蒼汰さん。
フードを被っているのでなかなか素顔が見えにくいけど、いつもの福士さんのイメージからはかけ離れたぶっ飛んだ演技。

向井さんと福士さんの新境地にはびっくりだったんですが、新境地を見せる、ということに注力した感じが否めなかったです。

ヒロイン、みさき役に山本美月さん。
この人はやっぱり可愛いですね〜。
演技の上手下手というより、作品の中の清涼剤としての役目をしっかり果たしてます。


やっぱり凄いなぁ、と思ったのは、海老原の弟分、小島を演じた柳楽優弥さん。
複雑な感情が渦巻くキャラクターになってます。
15年服役して出所したら、ヤクザの在り方が変わっていて、時代の流れについていけない。
かつての荒っぽいやり口で風俗業を開業しようとして、敵対視する砂川の舎弟を殺したことで、内乱を加速させます。
海老原には可愛がられていますが、社会の流れに馴染めず、本来の気性を抑えられない。

結果、手痛い目を見る訳ですが、危険な空気と小者感と太々しさを、見事にブレンドした演技。
ねちっこい台詞回し。
目が離せないんですよ。
キャラクター同様、柳楽さんにはまだまだ邦画界を引っ掻き回してもらいたいです(良い意味で)。


作品について。
アクションに関しては、どうも間延びした印象があって、最後の鉄工所でのアクションはカッコ良かったんですけどね。
全体的に、僕は消化不良気味でした…。
原作読んでたら、もっと楽しめたのかも知れませんが。
安田さんと柳楽さんの存在感で加点です。






余談ですが。

見終わった後、無性にある作品が見返したくなりました。
1998年公開の「鮫肌男と桃尻女」という邦画です。
ヤクザの金を持ち逃げした男と、人質になった女の子、それを追いかけるヤクザの面々の追跡劇。バイオレンス描写はかなりキツいですが、そのテンポ、そのノリ、センスの良さ。
何よりもスタイリッシュな映像と、強烈な個性のキャラクター(変態)のオンパレード。今見ても絶対面白いと思います。一度見たら忘れられない我修院達也演じる山田君なんか最高です。オープニングクレジットをタランティーノが大絶賛したコミックノワール、こちらも是非オススメです。
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