同級生の死をきっかけに心が揺れ動く高校生を綺麗に描いた作品。
評価は低くなってしまったが好きな映画。
綾(祷キララ)が亡くなってから自分の感情に向き合う高校生達の様子は見ていて懐かしかった。
「あいつは嫌な奴だった」という人もいれば「本当は仲良くしたかった」「実は怖かった」などその人が死んでから素直に言葉が出てくる場合もあるんだと思った。しかし、今言ったところで遅い。
印象的だったのは、綾たちが中学校時代に亡くなった教師の話を由紀(芋生悠)にしていたシーン。
由紀だけが泣いていなかったのを綾だけが見ていた。
「特に思い入れがあったわけじゃないから泣かなかった」という由紀に対し「みんなそうだよ。私だって好きでも嫌いでもなかったもの」と綾は返す。
あの時はなんとなく会話していたであろうこの言葉が後々、大きな意味を持ち始め由紀の心を揺さぶる。
確かに由紀と綾の間に友情があったのは事実。しかし、何でも話し合える親友だった訳でもない。ただ単にクラスメートだっただけ。だからこそ綾が抱えていたであろう心の闇を知る事ができなかった。綾自身は由紀に気づいて欲しかったのか助けを求めていたのか。死んでしまってからでは分からないし答えてくれない。
「由紀ちゃんは私が死んだ時、泣いてなかったね」そう言った綾の目はどこか悲しそうだった。
この物語は全員が当事者で全員が主人公。