バテラ

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのバテラのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の新聞の切り抜きが風に乗って街を駆け抜けるシーンは息を呑むほど美しい。京都アニメーションの技術力の高さが存分に発揮されていて、素晴らしい導入です。

中盤まではヴァイオレットと大佐、病床の少年がメインで話は進んでいきます。言動の節々にヴァイオレットが成長がみてとれ、ほのぼのします。そして少佐の生存に社長が気づくのですが、ちゃんと手紙が理由なのも丁寧です。

後半、少佐がヴァイオレットと会えない理由が、今一つ腑に落ちず、話に乗り切れない部分もありました。後半は丁寧過ぎるほど丁寧な話運びなのですが、テンポが削がれてしまったと思います。ただヴァイオレットと少佐がようやく気持ちを通じ合わせるラストは、TVシリーズも外伝も観てきたので「ああ、良かったなあ」と素直な感動がありました。

手紙は書くもので、アニメーションも描かなくてなりません。共に思いを込め「かく」という意味で、手紙とアニメは非常に親和性が高いテーマだったと思います。

手紙という思いが残る物を題材に、自分たちの思いも作品として残したいという、製作陣の意気込みは十分に伝わる内容です。作中の手紙の様に、移ろう時代の中でも、いつまでも残っていって欲しいと、切に思うのです。
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