まず76分という尺がいい。正直、内面系で90分でも長いなって思うくらいなので、ここまでコンパクトに凝縮できるのであれば短い方が集中できるのでいい。
そして本作を観て思うに、背景も余分なことは説明しなくともちゃんと物語は成立してるんですね。
「何故ここにやってきたの?」
「どうして同居なの?」
この理由は必要なかったですね。むしろ加えてしまうとそこから辻褄合わせやらでまた追加しないといけなくなるでしょうし。
この凝縮の仕方は見事です。
それにしても子どもはまっすぐだなあと。ある日突然祈りなさい、唱えなさいと言われても困惑するだけだろうに、そこに準じてしまうのも処世術なのだろう。しかし子どもの世界は大人ほど都合よくはできていなくて、実現しないことに対してNOと言えるのが子どもの特権なんだと思う。大人になるとそれが言えなくなるんだよ。調子合わせてしまうから。
本当に大事なものを失った時、言葉ってスラスラ出てこないんだと思う。そんなやり切れなさ、ぎこちなさも含めて、ピュアだった時代は輝いていたんですね。