たっかん

海獣の子供のたっかんのネタバレレビュー・内容・結末

海獣の子供(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

夏休みを通してこんな神秘的な体験と、体験を通して一歩前に進めた琉花いいなあ。羨ましい。うまくいかない日常(ケガレ)を過ごす中で、突然に現れる空と海(異質な他者)が瑠夏を祭りの本番(ハレ)へと導く。ここではないどこかへ。

とにかく映像が綺麗で、広い夕焼け、生命や神秘や怖さをもった目、宇宙、その他諸々。波がリアル過ぎて、波だけ実写かと思った。

音楽では、口琴出てきたのは驚いたと同時に嬉しかった。言葉で表すのが難しいこと、それは言葉にする事で分かる事もあるけれど、言葉以外で伝えられる事もある。その実証が詩や音楽。詩は言葉ではあるけれど、言葉以外でもある。感じる美しさからそう思う。

生と死。始まりと終わり。受け継がれる生命。神秘的な体験……神秘的と言うと少し胡散臭いけど、スピリチュアルという言葉よりは抵抗が少ないとは思うけど、そういう、"世界"と繋がっていることを感じる、喜び?感じられなさそうで、感じられそうで、でもそれが本当か不安になったり、忘れたりする。

日常に戻り、琉花は、デデに励ましをもらう。戻ってすぐは混乱もある。ゲストの荷はあまりにも大き過ぎる。デデの存在は大きい。橋渡しもデデだった。琉花もいつかデデのようになるのだろうか。ならないかな。琉花は日常に戻ったもんね。海と空、この大事な思い出を胸に、日常を歩んでいく。これまでのケガレ的な日常ではなく、活気溢れるケ的な日常を。琉花はもう大丈夫だ。

映画の冒頭あたりは、声優が芦田愛菜氏なんだよなあとワクワクしながら観てたが、途中から完全に映画の中に飲み込まれた。考えずに見ている時があると、映画を見ていて良かったなあって思う。振り返ってみて、やっぱり芦田愛菜氏すごい。尊敬。

エンディングの米津玄師、すごい。あれはエンドロール中席立てない。エンドロール中席立つ事はないけど、あれはすごかった。予告編見た時はザトウクジラのシーンだったから、そのシーンで流れなかった時、なんとなく違和感あったけど、あそこで米津玄師の方が違和感あったよなと後で思う。エンディング素晴らしかった。Amazonミュージックで買いました。

パンフレット売り切れでビックリ!人気なのね。これを見て、夏休みに入ったら、楽しそうだな。それか、実際の夏休みのつまらなさにがっかりするか。

作品を鑑賞する時以外で、目眩のするような体験ってあんまりない。体の底から夢中になれるような。セックスもご無沙汰だし。お祭りもそんな変性意識状態になるような事ってない。現実は、言葉、言葉、言葉でデスクワーク。肩凝り腰痛、胃が痛い。ここではないどこかへ連れていかれたいよ。