TakuoAoyama

マチネの終わりにのTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

マチネの終わりに(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

劇中何度も流れるタン、タタタタタン、タンという「幸福の硬貨」のクラシックギターの旋律が頭に残る。

変えられるのは未来だけではない。今の自分が変われば過去も変えられるということ。
振り返るともう同じ蕾ではない。

福山雅治演じる蒔野聡史の小洒落た台詞が慣れるまで少しムズムズするけど、周囲に対しては凄く優しい男性であることは確か。

石田ゆり子演じる小峰洋子の鮮やかな青と緑の衣装とパリの空が綺麗だった。

パリのテロ事件や師匠の病気と携帯電話の利便性が招いた幾度とないすれ違い。そしてよりによってエレベーター内で洋子はPTSDを発症してしまう始末。

ずっとずっとすれ違い続け、そして年齢や家庭、環境という自分の気持ち以外の部分で想いを押し殺す息苦しい展開が続く。
我慢することが大人の恋愛なのかは自分には分からないけど、終盤、2人にすれ違いの原因の真実が、罪悪感からかことの発端である早苗本人から今更ながらに告げられる。

洋子は早苗に水を掛けるのかと思いきや我慢し、あなたの幸せにと会計して(幸福の硬貨を連想させてるのか(札だけど))、さよならを告げ、1人孤独に泣く。

かたや東京の聡史は家で1人絶叫し、コップを割ったのかと思いきや割れず。(家庭を壊す訳にはいかないというメタファーか。)

この2人の我慢するシーンが印象的だった。

ラスト、聡史のNYでの復活コンサートの後、自分の気持ちにやっと正直になった2人は丸い噴水の両端で微笑み合って含みを持たせたエンドロール。
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