試写会で鑑賞。
戦闘模写が実質ない戦争映画。そして反戦を超越し日本という国自体の危うさは戦争時代も現代も全く変わっていない事をエンターテイメント中に確実に潜ませる山崎貴監督の渾身作です。現代の政治やらセブンイレブンの諸々の問題とかブラック企業の体質など色々ソックリ当てはまるのだから恐ろしいのです。
結論を冒頭に見せてしまいソコに至る真実を紐解いていく『アラビアのロレンス』手法は明らかに狙っており、ヒネリに捻りを加えるクライマックスへの布石として申し分ありません。
変わり者の数学者役の菅田将暉さんは文字通り好演し、彼の手足となる柄本佑さんも凄く良く、ついでに書くと浜辺美波ちゃんは儲け役、そして作品の重要な鍵を握る田中泯さんは相変わらずの存在感で流石です。
場面の殆どが数学に基づき巨大戦艦建造が如何に無駄かを証明して行く躍動感溢れるシミュレーション・サスペンスである中に挟まれる“白組”の仕事が冴えるＶＦＸが兎に角見事です。戦艦大和の沈没シーンが凄いのは当たり前で、それ以上に夜行列車が東京駅に到着する場面など、当時の日常を再現する作り込まれた映像は、現代日本映画における特撮映画の第一人者でもある山崎貴監督の面目躍如な集大成的作品になりました。
東宝本社試写室の小さなスクリーンでも圧倒されたので、公開されたら大きなスクリーンでまた観ます。
