Elijah

ふたりの女王 メアリーとエリザベスのElijahのレビュー・感想・評価

4.5
満を持して初日劇場鑑賞。
TVシリーズ『クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮』全4シーズン鑑賞終了後、そのまま続きを見ているような展開。
ことの顛末まで概要を知っているので物語よりも俳優の演技を楽しもうと思っていたら、王道ではあるもののあらゆる意味において多様性を取り込んで描かれているので従来の王室物とは違う新鮮味があってとても良かった。
特にダーンリー卿の人物設定が予想外のもので、それをお目当てのジャック・ロウデンが演じるという驚きと悦び。
そのジャック・ロウデンが初登場する場面はまるで『十戒』の有名な海を割るシーンの如くその先にある跪く姿が格好良すぎて!
でも、それ以降はご多分に漏れず見事なダーンリー卿=どこか憎めない駄目っぷりを発揮。
ロバート・ダドリーを演じるジョー・アルウィンは『女王陛下のお気に入り』とは違う顔つきで魅せるけれど、こちらでは見せ場が余りない印象が残る。
ジャック・ロウデンとの共演場面もほんの少ししかなかったのでいつかがっつりと再共演してもらいたい。
本来ならば「男」に対抗し力を合わせるべき同志なのに、この時代に生まれた「女」であるが故の立場と悲哀。
結局のところ最大の決定権はなく、すべての実行は「男」によってされるという。
原題の「Mary Queen of Scots」の通り、この作品はメアリーが主人公であり、エリザベスは助演的な役回りに過ぎず出番もそれほど多くはない。
両女王による最大のハイライトである見せ場はクライマックスに訪れる。
その際のシアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーの演技合戦が見もので素晴らしい。
ラストカットも印象的で、敢えて『女王陛下のお気に入り』と比較するならば、(甲乙付け難いけれど)自分は『ふたりの女王』の方が演劇的な作風なこともあり好みかもしれない。
ジョーシー・ルーク監督の演出、かなり好みでした。
おまけ。
ダーンリー卿(ジャック・ロウデン)の息子ジェームズ6世を演じるアンドリュー・ロスニーの貴重な1シーンとエンドロールで名前をしっかりと確認することができたことも記録しておきたい。
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