観る時は、体力、気力が充分な時でないともたない気がして、後回しにしていた本作。漸く観ました。
想像より鬱々としていた訳では無いけど…、うーん、やっぱ、何とも複雑な気持ちにはなった。兄、良夫の行いは、勿論良くはないのだが、あの暮らしぶりを見る限り、育ってきた背景が世間一般並では無いのは想像に難くないし、生活保護の事を本当に知らなかったのではあるまいかとさえ、思える。普通に暮らしてきた人は、当たり前に知っているはずの、福祉制度を知らない人って、本当にいるし。
そして、更に貧困に陥り、食べるものにも事欠く暮らしの中、思考能力は低下し、とにかく、食べたいと言う本能が勝り、あのような結果となったのかなと…。
妹の事を商売道具にしてしまったが、
小人症の男性に、妹の事を頼みに行ったところは、押し付けたいと言う気持ちではなく、兄として、妹が幸せになれる可能性を考えている片鱗も見えたし、結局、妹を捨てる事はしないところなど、
良夫が悪人ではないところを彷彿とさせ、環境さえ、環境さえ、もう少し良ければ…、と、自己発信しないと、なかなかそれに気付かれないと言う、社会、福祉制度の限界や、矛盾を感じた。
主演の、兄と妹を演じられた俳優さん御二人は、本当に熱演でした。
