いまこい

岬の兄妹のいまこいのネタバレレビュー・内容・結末

岬の兄妹(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

恵まれない、上手くいかない人を見て不快な気持ちになるのは何故か。自分ならもっと上手くやれるのに、という傲慢なフラストレーションだろうか。

身体障害者の兄:良夫が、生活のため自閉症の妹:真理子に売春させる映画。この概要だけで重苦しく絶望的な気持ちになるが、実際鑑賞しても89分ずっと救いがなく、穏やかな絶望感を味わい続けることとなる。

「お前は足じゃなくて頭が悪いんだよ。」
友人?の肇が良夫に向けた言葉が全てだった。
境遇を改善する努力をせず、他人に頼る。自分より下の者は見下す。他人の目を気にしないような、粗暴な振る舞い。もっと上手くやれるのに、と思わざるを得ないが、良夫はそんなこと考える余裕すらないのだろう。

本能で生きる真理子は、ある意味痛快だった。自分で存在意義や快楽を見つけられる真理子は強い人だと思う。たとえそれが売春であっても。可哀想、と思うのはこちらの勝手だが、自分の正義を押し付ける理由にはならないのかもしれない。

汚くも美しい映像で、目を逸らしたいものにスポットをあてた映画だった。