このレビューはネタバレを含みます
どうしたらよかったんだ…
生活保護につながればよかったんだろうけど、でもそれだけじゃ解決できない問題が深すぎる。
知的障害がある自閉症の真理子、たぶん彼女にとって今回の売春は、幼少期に本能でやっていたブランコでの自慰行為の延長線なんだろうなとは思う。
ただそれとは別に、真理子なりに客と心は通わせていたんじゃないかな、だからといって正当化されるわけじゃないけど。
うーん、兄も兄でちょっと底意地の悪さというか、人間性の浅さが(そして見通しの無さが)取り返しのつかないところまで来てしまった原因ではあるけれど、兄ばかりも責めてられないなあ。
唯一はじめくんは、警察官なんだから福祉につなげる知識もコネクションもあるはずなのに、それこそお説教だけ垂れて、中途半端に助けて…っていうのは感心できないな。
中絶手術した執刀医の先生の「逃げないで」が耳にこびりつく。胎児は中絶手術で掻き出すとき、中で逃げるっていうのは聞いたことがあるので、そのことだとは思うけど映画としては、兄に対して、「逃げないで」だな。
最後、明言はしてないけどまた結局売春続けているんだろうなというラスト。真理子が、「お仕事する?」と言わずに着信音に反応して振り返るだけ、というのが演出としてよいと思った。
また観るか、と言われたら観ないかもしれない。八日目の蝉みたいに暗い話の最後に救いがあるかといえば救いがないし…(最後再雇用してもらったんだろうけど後の祭り感が拭えない。クシャクシャにした紙は広げても元のシワの無い紙に戻れない)
でも、見応えはあったしあっという間の鑑賞時間だった。
私は好きな映画。
勧める人は選ぶけど、深い付き合いの人には勧めたい。
あっ、あと、U-NEXTでしか見放題じゃない表示だけど、アマプラでありましたよ!見放題だった。