このレビューはネタバレを含みます
ジョージアのどこかの街外れにあるスラムで極貧困のなか暮らす少年 スサの過酷な日常を追い続けるドキュメントタッチのドラマ。
そのリアリティ、演出力、救いようのなさ
を見せつけられ、私がまず思い描いたのはジョージア版のダルデンヌ作品だということ。
密造酒の製造工場で昼夜働く母と、その酒を街で販売するスサ。
工場主は従業員をこき使い、街ではチンピラに売り上げを横取りされる日々。そんな生活も出稼ぎに行った父親が戻ってくれば終わると信じてやまないスサ。
しかし、父親が戻っても何も変わらなかった。。。
決して贅沢な暮らしがしたかったわけではない。
家族3人で普通の生活がしたい。
隣近所のお兄さんと好きな時に遊びたい。
そんな些細なわがままもまかり通らない現実にスサは無力極まりない拳を無闇に振り回す事しかできなかった。
きっと彼自身もこの怒りで何かが変わるとは思っていないだろう。
ただ、痛切な噛み殺した悲鳴が私の胸を掻き毟った。
真っ直ぐなスサの瞳に写る世界はどんなだろう?
周りの大人たちをどう捉えているのだろう?
自作の万華鏡を覗き込んだ時のように煌びやかに輝いていて欲しかった。