少年スサの作品情報・感想・評価

少年スサ2010年製作の映画)

Susa

製作国:

上映時間:75分

3.7

「少年スサ」に投稿された感想・評価

kyoko

kyokoの感想・評価

3.8
母親が勤める密造酒工場の売り子として働くスサ(床屋のオンザ眉毛カットにも耐える美少年ぶり)。
学校にも行かず、重い瓶を持って街までの長い長い道のりをひたすら歩く。
街に出ればチンピラ二人組からみかじめ料?をぶんどられ、警察からも追いまわされ…出口の見えない底辺で少年は歯を食いしばる。
父親さえ帰ってくればすべては解決するのだと信じて。

淡々として大事件らしい大事件は起こらないけれど、猛烈に救いがない。
年上のジュジャに「遊ぼうよ」と何度もせがんでいたスサは、まだまだほんの子どもだった。言葉で怒りを表すこともできずただただ体をぶつけていく姿に胸が痛む。


たぶん劇伴一切ナシだったと思う。

このレビューはネタバレを含みます

ジョージアのどこかの街外れにあるスラムで極貧困のなか暮らす少年 スサの過酷な日常を追い続けるドキュメントタッチのドラマ。
そのリアリティ、演出力、救いようのなさ
を見せつけられ、私がまず思い描いたのはジョージア版のダルデンヌ作品だということ。

密造酒の製造工場で昼夜働く母と、その酒を街で販売するスサ。
工場主は従業員をこき使い、街ではチンピラに売り上げを横取りされる日々。そんな生活も出稼ぎに行った父親が戻ってくれば終わると信じてやまないスサ。
しかし、父親が戻っても何も変わらなかった。。。

決して贅沢な暮らしがしたかったわけではない。
家族3人で普通の生活がしたい。
隣近所のお兄さんと好きな時に遊びたい。

そんな些細なわがままもまかり通らない現実にスサは無力極まりない拳を無闇に振り回す事しかできなかった。
きっと彼自身もこの怒りで何かが変わるとは思っていないだろう。
ただ、痛切な噛み殺した悲鳴が私の胸を掻き毟った。

真っ直ぐなスサの瞳に写る世界はどんなだろう?
周りの大人たちをどう捉えているのだろう?
自作の万華鏡を覗き込んだ時のように煌びやかに輝いていて欲しかった。
koms

komsの感想・評価

-
ジョージアはトビリシだけ行ったことあるけど、良い意味でとてもこじんまりとしていて大好きな国だ。食べ物も美味しいし若者はキラキラしている。
そんな側面だけではないだろう事は分かっていたけれど、映画でちゃんと知る事が出来てよかった。寒そうだし薄暗く、汚く、ヤンキーは尽く意地悪。スサの美しさが救いだった。彼の、子供たちの救いになる何かを、考え続けなければいけない。
mingo

mingoの感想・評価

4.0
家族のために貧しいスラム街でウォッカの密売を手伝うある一人の少年の日々を描いた本作だが淡々と魅せるシンプルな演出はグルジア版ダルデンヌ兄弟。上納金を不良少年たちに毎度きちんと納め、帰ってきた父親に希望を見出すが車のおもちゃが欲しかったわけじゃない、今の過酷な生活状況をなんとかしたいだけ、美しいお顔に澄み切った瞳の真っ直ぐな眼差しが痛烈に伝わる。つまり元同僚の青年と石蹴りをして普通に遊びたいだけだし、自作の万華鏡をくるくる回しキラキラした世界を覗き込むだけで少年は満足なのだ。ラストでスサが少年2人からリンチに合うシーンではポーランド映画の最悪の一本「プレイグラウンド」を想起させられたがちゃんと脱出できて心底安心した、、、そして密売所のボスへグーパンで立ち向かう術しか持たない無力さは問題提起の装置として鑑賞者に突きつけるのである。理不尽な大人たちと閉塞した社会への少年の怒りがただただ胸を打つ傑作。
主人公スサの家は、父親が出稼ぎでいない、母親が密造酒の工場で働き、スサ自身はその密造酒を売る仕事をしている。父親が戻ってくることに希望を見出だすが・・・という話。

グルジアの貧困を描いた話。貧しい地域はスラム化していて、瓦礫が多く、道も舗装されていない、そして汚い。そんな舞台でスサは、警察に見つからないように密造酒を売っていく。そして売上金を道端の不良少年に掠め取られる。スサはきれいな顔立ちをしている。不良少年達に部屋に閉じ込められて、そこから脱出する様を長回しで撮っていたサスペンスが良かった。

手持ちカメラのドキュメンタリータッチ。題材といいダルデンヌ兄弟を連想させた。
CCC

CCCの感想・評価

3.5
希望のない町から出たいのに、出られない。せっかく一縷の望みが浮かんできたのに、それも叶わない。それを予言した工場主にあたるスサ。完全な八つ当たりなんだけど、当たる対象がそこになっちゃうってことで、なんとも切ない。

終盤に出てくる店で、パン切り包丁で切られるパンの音が、むちゃくちゃ旨そう。
あまりにも救いのない物語…。

少年スサは子供らしい感情を失ってしまっているわけではなく、元同僚の青年とは実に楽しそうに遊ぶ。それがなおさらつらい。

出稼ぎから戻ってきた父親が、車のおもちゃを買ってくる。
おもちゃなんて別に欲しくなかったかもしれないし、そんなことでは何も帳消しにならないかもしれないけれど、親が少しでも自分のことを考えてくれていたというだけで、信じて希望を抱いてしまうんだよなあ…。
(親子ものに弱いので、終盤も近くなったこのあたりから涙が止まらなくなる…。)

密売所のボスに飛びかかり、子供の全力をもって殴打するラストシーン。この男を殴っても問題が解決しないことは、きっと彼自身も分かっている。ボスもいきなり怒るのではなく、「まずは落ち着いて何があったか話せ」と冷静な対応を取る。その場にいる誰にもどうすることもできない、苦しい結末…。



『ダンサー』との同時上映。
横浜シネマリンの「ジョージア映画祭in横浜」にて鑑賞。
Lalka

Lalkaの感想・評価

3.5
監督の母が持つ日本の万華鏡に影響され万華鏡を演出に加えたそうで、暗澹たる空気が立ち罩め続けるなかで、別の美しさを添える。

そのまま、を受け入れて良いのかはわからないがその国の抱える貧困の同時代の現実を垣間見るということは劇的なものが加わろうと価値のあるものだと思う。
貧困のスサ。
スサの父親は出稼ぎに行っている。
母はウォッカの密売工場で働き、スサはウォッカの密売人として家計を助ける。
苦しくひもじい生活も父が出稼ぎから帰ってくれば変わる、この町から引っ越せると希望を持つスサ。
だから負けない。
どんなに惨めだろうが、町の不良にいじめられお金を奪われようが耐える。


本当にひたすら辛い作品だった。
スサの無言の怒りに胸が苦しくなった。


ダルデンヌ兄弟を彷彿させる撮り方なので「ロゼッタ」が好きな人ならこの作品も好きだと思う。
とても似ているので監督は少し影響を受けているのかな。
でもどちらとも傑作なのは間違いない。

最後のスサの行動は、子供ながらの必死な抵抗と子供だからこその抵抗の限界に涙が止まらなくて今すぐスクリーンの中に入ってスサを抱きしめたくなった。
残酷な現実に悲しくて虚しくて心が沈んだ。

スサが心から笑える日が来ますように。
Sios

Siosの感想・評価

3.4
父さえ帰ってくれば…
貧しい暮らしの中、耐えて待つスサの素直な目が印象的。

少年と廻るウォッカ密売のルーティン。
バスの美少女、
年上の友達、
工場長、
地下集会の参加者、
汚いトランプのおばさま、
ゴロツキ、、、

彼の目に映る一番の害悪は何なのか。
怒りの矛先が切ない。
>|